ナゴヤ展覧会日記、たまに遠征

展覧会の健忘録です。名古屋近郊メイン、たまに遠征します。

コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画(松坂屋美術館)2023/9/30~11/19

東京や大阪などで開催されていたけれど、観られなかった展覧会です。まさか名古屋にきてくれるとは!

メインビジュアルが心惹かれます。

 

「昭和のキャバレー王」と呼ばれた福富太郎は、近代日本絵画のコレクターでした。

絵のセレクトがすごく好きです!!ご存命でしたら握手を交わしたいくらい!

メインビジュアルの北野恒富の≪道行≫からもう惹かれまくります。近松門左衛門の『心中天網島』が題材になっているのですが、心中ものって画商さんが売りにくかったんですね…。顔は白いのですが、つないだ手には赤みが差していて、でもこの後の二人の運命を思うと何とも言えない気持ちになる絵でした。

実際の心中は肯定してはいけないことですが、フィクションの心中ものってどうしてこんなに心が惹かれるんでしょうね…お芝居でも小説でも絵でも。

美人画以外もとても良いものが多くて、特に川村清雄の《蛟龍天に昇る》という龍の絵が迫力がありました。勝海舟が買い取り、自邸の客間に飾っていた作品とキャプションにありました。来歴からしてすごい!よく見ると、龍の目がけっこう可愛らしい。

松浦舞雪《踊り》もお気に入りです。阿波踊り?の絵なのですが、あえて後姿を描いているのも新鮮だし、踊りに没頭している奇麗な着物姿の女性がすごくキュートです。ふんわりとした色合いで、日本画って素敵だなと改めて思う作品でした。

絵はがき買っちゃいました。

今回一番好きだったのは、鏑木清方《妖魚》です。いつもは絵はがき買わないのですが、思わず買ってしまいました。人魚ではなく妖魚なんですね。当時は賛否両論だったそうです。清方自身も失敗作だと思っていたそう。福富さんはこの絵を清方の名作の一つと語っていたそうです。わ、わかる~!私もこの絵はめちゃくちゃ良いと思いました。人魚の美しさと怖さが表現されていて、絵に吸い込まれていきそうになります。実際大きい屏風なので、見ごたえもあります。

個人のコレクション展って、そのコレクターの好みがわかって面白いですよね。私もお金持ちだったら、好きな作家さんの作品を買いまくって展覧会がしたいー!頑張って働こうと思える展覧会でした。