今年度の愛知県美術館の企画展…すごく好きです。
「近代日本の視覚開化 明治──呼応し合う西洋と日本のイメージ」「幻の愛知県博物館」と明治から昭和初期辺りの熱い時代の展示が続いていました。そろそろメジャーどころを企画展でやるのかな?と思っていたけど、安井仲治です。写真です。渋いです。良すぎて協力会に入会してしまいました。
安井仲治さんについては、ほとんど知識なしでした。
名古屋市美術館の常設展で、たまに「流氓ユダヤ」の一連の写真が展示されています。これは、関西の丹平写真俱楽部というグループが撮影したものなのですが、その中に安井忠治の名前があります。丹平写真倶楽部のメンバーという位の知識でした。
今回、安井仲治がピックアップされていて、どのように写真を撮り続けていたかという軌跡が分かってよかったです。
会場は撮影禁止だったのですが、色んな表現を試行錯誤しているのが分かって面白かったです。
特に私が印象に残った写真は、≪少女と犬≫≪恐怖≫≪流氓ユダヤ 母≫≪サーカスの女≫です。安井仲治の撮る女性は、媚びていなくてみんな強そうなんです。カメラを真っすぐ見て、プライドを持っている感じ。安井自身は女性モデルを撮るのは苦手というようなことが書いてあったのですが、市井の人々を撮ったものは生き生きとしていて良い写真ばかりでした。ポートレートがとにかくかっこいいです。
流氓ユダヤのシリーズも展示されていましたが、名古屋市美術館で展示されているもの以外も見られました。こんな写真もあるんだ~と新鮮でした。
シュールレアリスム時代の写真も良かったです。私は大正から昭和のシュールレアリスムが好きなのですが、まさにそれという感じです。
あと、すごく良かったのは鑑賞ガイド!フィルム写真の原理や、プリント技法についてわかりやすく説明してあって鑑賞の助けになりました。愛知県美術館は、毎回鑑賞ガイドが力が入っていて面白いです。一般の私たちにも少しでも分かりやすく楽しく観てもらおうという気持ちが伝わってきます。
渋い展示ですが、もっと色んな方に観てほしいな…。派手なわかりやすい展示も大好きなのですが。
学芸員さんの解説の日もあるようなので、その日に行くとより良いかもしれませんね。