ナゴヤ展覧会日記、たまに遠征

展覧会の健忘録です。名古屋近郊メイン、たまに遠征します。

レトロ・モダン・おしゃれ 杉浦非水の世界展(ヤマザキマザック美術館)2023/10/27~2024/2/25

数年前、行きそびれていた杉浦非水の展覧会が名古屋で開催されていたので行ってきました。私はレトロなデザインが好きなのですが、まさに求めていたものはこれ!という感じで、可愛い~と心の中で連発しておりました。

デパートのポスターや、会報?のデザインもされていたんですね。

タバコの箱のデザインがすごくモダンで可愛かったです。このデザインなら、喫煙者になっていたかもしれない…。

家電の説明書もおしゃれすぎる。こんなデザインの取説なら、なくさないかもしれない。写真が撮れなかったのは残念ですが、非水デザインのものは今でも欲しい人たくさんいるんじゃないかなぁ…。

ちなみに非水さん、松山の人なんですね。愛媛出身の自分としては嬉しいですね^^

ポスターの蝶々の子供。かわいい。

あと、ヤマザキマザック美術館さんは常設展がとっても素敵。

スーティン 緑の木々

エコールドパリ、たくさんお持ちですね…。スーティンもたくさんありました。こんなに一気にスーティンを摂取していいのか不安になりました。一度に観るのはせいぜい2スーティンですね。今回摂りすぎました。

スーティンの絵は、落ちてる時に見ると何かしっくり来るんです。気持ちが落ちてる時って、奇麗な女性の絵とか美しい風景には全然ピンと来ない。苦しい人が描いている絵(と言っていいのかわからないのですが)が逆に慰めになることがあります。

モディリアーニ ポール・アレクサンドル博士の肖像

スーティンの親友のモディリアーニも展示されていました。

モディリアー二はこの地方だと名古屋市美術館のおさげ髪の少女が有名ですが、こちらは男性。こちらも目に光が入っていて、おさげ髪の少女と同じく生命力や力強さを感じます。

ヤマザキマザック美術館は、建物も綺麗だし落ち着いて鑑賞できるので好きな美術館の一つです。駅直結なのも便利。有名どころ以外の良い展示もしているので、こんな方がいたのか~と新たな発見もあります。

ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者  松坂屋美術館(松坂屋名古屋店 南館7階)12/9~1/21

新年初の展覧会はミュシャです!

やっぱり、何だかんだで結局ミュシャが好き。メジャーすぎて美術通の方からは鼻で笑われることが多いのですが、やっぱりいいですよね。

今回の展覧会はお菓子のパッケージやアクセサリー、胸像や切手などのポスター以外のミュシャの仕事がよく分かる内容になっていました。

もちろん、ポスターもありましたよ。

このポスター好きです。メドゥーサ的な感じかな?

スタンダードもやっぱ良い

お花、星、女性の組み合わせ可愛い

女性、お花、星などのモチーフが王道ながら可愛い。見ていて疲れないのが良いです。

お菓子の箱 

お菓子のパッケージになっていたそう。今でもこういうの売ってたらいいのになー。多少高くても買います!

ビザンティン風の頭部 ブロンド

ビザンティン風の頭部 ブルネット

これはお皿なんですが、ブロンドちゃんとブルネットちゃんが対になっているなんて可愛い!双子コーデ好きなんですが、単体よりも可愛さ倍増じゃないですか?ミュシャ、分かってる~!

油彩もすごい

最後の方に油彩も展示されていました。

ポスターの時と違って、力強い感じ。デザイン系の時と雰囲気が変わってて面白い。何かレアなものを観られた感じ(^^)

ミュシャの絵って難しいことは分からなくても、素直に可愛いとか綺麗って思えるところが良いですよね。グッズ売り場も充実していました。

今回、写真撮影OKでした。最近、写真OKな展覧会増えていますね。

※ニコちゃんスタンプは反射してたので私が付けました。

こんなの、出口で売ってたら買うに決まってるでしょうが~~~!!

ミニゴーフルが入ってる缶。もちろん2ケセットです。ミュシャの展覧会に行くと、グッズを買うことから逃れられない…

年明け最初の展覧会として、ふさわしいスタートとなりました。

今年もたくさん展覧会に行けますように…!

コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画(松坂屋美術館)2023/9/30~11/19

東京や大阪などで開催されていたけれど、観られなかった展覧会です。まさか名古屋にきてくれるとは!

メインビジュアルが心惹かれます。

 

「昭和のキャバレー王」と呼ばれた福富太郎は、近代日本絵画のコレクターでした。

絵のセレクトがすごく好きです!!ご存命でしたら握手を交わしたいくらい!

メインビジュアルの北野恒富の≪道行≫からもう惹かれまくります。近松門左衛門の『心中天網島』が題材になっているのですが、心中ものって画商さんが売りにくかったんですね…。顔は白いのですが、つないだ手には赤みが差していて、でもこの後の二人の運命を思うと何とも言えない気持ちになる絵でした。

実際の心中は肯定してはいけないことですが、フィクションの心中ものってどうしてこんなに心が惹かれるんでしょうね…お芝居でも小説でも絵でも。

美人画以外もとても良いものが多くて、特に川村清雄の《蛟龍天に昇る》という龍の絵が迫力がありました。勝海舟が買い取り、自邸の客間に飾っていた作品とキャプションにありました。来歴からしてすごい!よく見ると、龍の目がけっこう可愛らしい。

松浦舞雪《踊り》もお気に入りです。阿波踊り?の絵なのですが、あえて後姿を描いているのも新鮮だし、踊りに没頭している奇麗な着物姿の女性がすごくキュートです。ふんわりとした色合いで、日本画って素敵だなと改めて思う作品でした。

絵はがき買っちゃいました。

今回一番好きだったのは、鏑木清方《妖魚》です。いつもは絵はがき買わないのですが、思わず買ってしまいました。人魚ではなく妖魚なんですね。当時は賛否両論だったそうです。清方自身も失敗作だと思っていたそう。福富さんはこの絵を清方の名作の一つと語っていたそうです。わ、わかる~!私もこの絵はめちゃくちゃ良いと思いました。人魚の美しさと怖さが表現されていて、絵に吸い込まれていきそうになります。実際大きい屏風なので、見ごたえもあります。

個人のコレクション展って、そのコレクターの好みがわかって面白いですよね。私もお金持ちだったら、好きな作家さんの作品を買いまくって展覧会がしたいー!頑張って働こうと思える展覧会でした。

植田明志 10周年記念展『DECAGON』 (Sipka シプカ )2023/10/20〜11/12

10/20から名古屋で始まった、造形作家の植田明志さんの10周年記念展に行ってきました。

会場は、大須にある「Sipka シプカ」さんというアクセサリーや不思議な作品をたくさん扱っているお店です。

 

どんな作家さんかというと…

ほっぺたが可愛い

可愛い!だけではなく幻想的で、ちょっと毒も含んだような不思議な立体作品を産み出しています。独特な世界観があって、お伽話のような子どもの見る夢のような、何とも言えない世界観なのです。作品ごとにストーリーがあります。

もちもちしてそう。

デフォルメされていそうでリアルな感じ。顔は赤ちゃんで可愛いのに、体のしわの部分などは本物っぽい。可愛いと思って近づくと、怖い部分もあります。

もう、これなんてわけがわからなくて凄すぎる。おじいさんスーツを着た双子らしいです。夢に出てきそう…もちもちの赤ちゃんとお爺さんのカサカサ感の表現の差が凄すぎます。何でこんなことが思いつくのでしょうか…。

この浮遊感も何とも言えません。水の中なのか宇宙空間なのか…おそらくそのどちらでもないんだろうなぁ。涙を拭いてあげたい。可哀想可愛い。可哀想で可愛いものからしか得られない何かってありますよね。

植物の表現など、人物以外も素敵です。もふもふで可愛いと思ったら、小さい顔が出てるし、足の爪がけっこう鋭い(笑)

 

植田明志さんは、日本だけではなくグローバルに活躍をされています。三重県出身なのですが、同郷の方が活躍しているのは嬉しいですね。いや、植田さんが活躍しているからと言って三重県民全体のイメージアップになるわけではないのですが…。

 

作品は販売されているのですが、東京で先に展示をしていたのでほとんどソールドしていました。ワンオフなのでそう簡単に手が出るお値段ではないのですが、それがほぼ売れてしまうとは…。この後、大阪で展示もあるそうです。

一般人にも手に取りやすいグッズもたくさん販売されていました。

ソフビ(8000円)は、作家さんが彩色されているので微妙に色合いが違うそうです。作家さんが塗っているのなら8000円は安いのでは!?同行した友達も買ったので、一緒に写真を撮りました。蓄光塗料で塗られているので暗いところでぼんやり光ります。作品集やピンバッチも販売されていました。

美術館やギャラリーでグッズを買うのを控えようと何回も思っているのですが、見てしまうと買いますね。1点ものの作品も富豪になったら買いたいですねぇ…

 

今回の展示会をされている大須のシプカさんは、開いている時間帯などがまちまちなので調べてから行かれることをお勧めします。ちょっと入りにくい雰囲気なのですが、店長さんは親切で色々と作家さんのことを教えてくださいますので、勇気を持ってお店に入ってみてください!

 

シプカさんのX(Twitter)

https://x.com/kotoritaichou/status/1680177096096886784?s=20

 

絵や写真も好きですが、やっぱり彫刻や造形もいいなぁと感じた一日でした。

 

生誕120年 安井仲治/ (愛知県美術館)2023/10/6~11/27

今年度の愛知県美術館の企画展…すごく好きです。

「近代日本の視覚開化 明治──呼応し合う西洋と日本のイメージ」「幻の愛知県博物館」と明治から昭和初期辺りの熱い時代の展示が続いていました。そろそろメジャーどころを企画展でやるのかな?と思っていたけど、安井仲治です。写真です。渋いです。良すぎて協力会に入会してしまいました。

入り口です。

安井仲治さんについては、ほとんど知識なしでした。

名古屋市美術館の常設展で、たまに「流氓ユダヤ」の一連の写真が展示されています。これは、関西の丹平写真俱楽部というグループが撮影したものなのですが、その中に安井忠治の名前があります。丹平写真倶楽部のメンバーという位の知識でした。

今回、安井仲治がピックアップされていて、どのように写真を撮り続けていたかという軌跡が分かってよかったです。

会場は撮影禁止だったのですが、色んな表現を試行錯誤しているのが分かって面白かったです。

特に私が印象に残った写真は、≪少女と犬≫≪恐怖≫≪流氓ユダヤ 母≫≪サーカスの女≫です。安井仲治の撮る女性は、媚びていなくてみんな強そうなんです。カメラを真っすぐ見て、プライドを持っている感じ。安井自身は女性モデルを撮るのは苦手というようなことが書いてあったのですが、市井の人々を撮ったものは生き生きとしていて良い写真ばかりでした。ポートレートがとにかくかっこいいです。

流氓ユダヤのシリーズも展示されていましたが、名古屋市美術館で展示されているもの以外も見られました。こんな写真もあるんだ~と新鮮でした。

シュールレアリスム時代の写真も良かったです。私は大正から昭和のシュールレアリスムが好きなのですが、まさにそれという感じです。

 

あと、すごく良かったのは鑑賞ガイド!フィルム写真の原理や、プリント技法についてわかりやすく説明してあって鑑賞の助けになりました。愛知県美術館は、毎回鑑賞ガイドが力が入っていて面白いです。一般の私たちにも少しでも分かりやすく楽しく観てもらおうという気持ちが伝わってきます。

 

渋い展示ですが、もっと色んな方に観てほしいな…。派手なわかりやすい展示も大好きなのですが。

学芸員さんの解説の日もあるようなので、その日に行くとより良いかもしれませんね。

マリー・ローランサンとモード(名古屋市美術館)2023/6/24~9/3

以前に行った展覧会です。

名古屋住みなので、名古屋市美術館愛知県美術館にはだいたい足を運んでいます♪

 

マリー・ローランサンは、すごく好きというわけではないのですが観ていて疲れないのが良いです。この頃、体調不良で入院の危険を感じた出来事があって、(今は体調良くなりましたので大丈夫です!)行けるときに行っておかないと思い行きました。

これが、以前名古屋市美術館でやっていたアドルフ・ヴェルフリ展とかだったら倒れていたと思います(笑)元気じゃないと見られない絵、元気が無くても見られる絵っていうのがあるんですね…。※ちなみに、ヴェルフリ展はめちゃくちゃ面白かったです。

 

やっぱり、見ていて疲れないのは優しい色使いと圧のなさでしょうか。

 

こちら、41歳の時の自画像だそうです。目の下のクマやほうれい線もちょこっと描いてて、好感が持てます。ちょっと疲れてる感じも共感持てます。仕事上がりの私もこんな感じですもん。もっと土気色ですが。

 

これは、気に入らなくて突き返されたというシャネルの肖像画。めちゃ素敵な絵だと思ったけど、バリキャリのシャネル的には優しい雰囲気がダメだったのかな~。普通、描いてもらったらなかなか断れないけど、さすがシャネル。優しい雰囲気で、言われなければシャネルの肖像ってわからないですもんね。

 

これも好きな1枚。最後の方の作品だと思ったのですが、何か上手くなってる?!と思いました。色もちょっとはっきりしている感じ。

 

その他、ドレスなども展示されていたのですが写真に撮っていませんでした。

シャネルのドレスもこうやってみると素敵だと思いました。私的には日本のバブリーなイメージが強かったので…

 

この後、講演会「ココ・シャネルの真実」(山口昌子先生)も聴きにいったのですが、シャネル自身も波瀾万丈でドラマティックな人生だったんですね。いつもの講演会と客層が違っていて面白かったです。

 

ローランサン名古屋市美術館も何点か所蔵していて、「横たわる裸婦」という作品が好きです。やっぱり男性が描く裸婦像と違うんですね。男性の描く裸婦像とよく並べて展示してあるので比べて鑑賞しても面白いです。たまに出ていますので注目してみてください!

 

中園孔二  ソウルメイト (丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)2023/6/17~2023/9/18

少し前に行った展覧会です。

 

香川県丸亀市丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に行ってきました。

台風が近づく中でしたが、お客様はちらほら。

実家が四国なので、帰省のついでに。スケジュール的に行けなさそうだったのですが、台風で名古屋に戻るのが延期になったおかげで観ることができました(^^)

 

丸亀駅すぐ近くの素敵な美術館です。車無くても行けます!

 

中園孔二さんのことは、日曜美術館のアートシーンで知りました。丸亀で活動をされていたんですね。

 

入り口はこんな感じでした。

 

中に入ると、とにかく大小様々な作品が。一気に中園孔二の世界観に吞み込まれました。

小さな作品も面白いものが多くて、一つ一つ観ていくと時間があっという間でした。

同行した従姉妹と、これが良いとかこれはどういう絵なんだろうと話しながら楽しみました。

 

気になった1枚。火事?暴動?みたいなものに巻き込まれている人、それを助けようとしている人?それをスマホで撮っている人。そして画面の全体には、笑いながらそれを見ている2人の顔のアップ。…なんだか、今の世の中を表している感じなのかなと思いました。一見ポップな感じに見えるけど、闇が含まれている作品だと思いました。(完全に私の解釈です…もしかしたら違うかもしれません)

最初、大きな人のドアップに気が付きにくいのですが、カメラを通すと分かりやすかったです。

 

こちらも不思議な絵でした。色んな表情が隠れています。中園孔二の描く顔は、とても可愛らしいものが多いです。

この絵は小さいものだったのですが、そのままコーヒーや紅茶のパッケージにしても良さそう。右上の雲人間??めちゃくちゃ気になります。なんとも言えない表情。こういうのがものすごく上手いなぁと思いました。

 

 

私が一番好きなのはこれです。雨の表現が面白い!雨の中、泉で髪の毛を洗う女性??泉の女神様なのかな?シチュエーションはとにかく謎ですが、なぜだか心がとても惹かれる作品でした。ちょうど台風の時に行ったのも関係あるのかもしれません。

 

作品はほとんど無題なので、後で作品について話す時に大変でした(^^;)

 

たった8年の画家人生で約600点の作品を残すなんて、人生は長さではなく濃さなんだと改めて感じました。やろうとしていた展覧会のスケッチなども展示されていて、どんな構想があったのかなぁと気になりました。

 

巡回しない展示会だったので、ほんと勿体ない…。もっと多くの人に知ってもらいたいです。